一般社団法人日本社会福祉学会 第72回秋季大会
一般社団法人日本社会福祉学会 第72回秋季大会
一般社団法人日本社会福祉学会 第72回秋季大会

学会企画セッション

【対面・オンデマンド】

10月27日(日) 14:30~16:30

テーマ:社会福祉における「つながること」を再考する-「つながり」と「匿名性」-

【シンポジスト】

姜 恩和(目白大学)
内密出産、匿名出産の見地から
掛川直之(立教大学)
出所者支援の見地から
小澤昭彦(埼玉県立大学)
精神障害者福祉の見地から
松岡是伸(北星学園大学)
生活保護/困窮者支援の見地から

【コーディネーター】

伊藤嘉余子(大阪公立大学)

【コメンテーター】

山縣文治(関西大学)

※敬称略

【企画趣旨】

 厚生労働省は「地域共生社会の実現」として、顔のみえるつながりづくりの必要性・重要性を示している。それぞれの顔と名前がわかる関係づくりを促進し、地域で孤立した人をつくらない、「つながり」をつくることによって「誰ひとり取り残さない」社会の実現を目指しているといえる。
 一方で、社会福祉実践においては、匿名性を尊重することによって、その人や家族が安心して社会福祉サービスを利用することや自分の個人情報を提供することを可能にしたり、自由な一人ひとりの意思決定を可能にしたりしてきた側面も多くある。
 地域で誰かとつながりながら生きること、絆を大切にした社会をつくろうとすることは、孤立や孤独を軽減し、一人ひとりのウェルビーイングを高めていくという意味で意義のある取り組みといえる。しかし、その一方で、「つながり」「絆」という言葉がもつ強い束縛性にも私たちは関心を持つ必要があるのではないだろうか。また、社会に根強くある、差別、偏見、スティグマ、具体的かつ実際的な「生きづらさ」が故に、顔と名前がわからない関係性の中で生きることを必要とする人もいるのではないか。さらに、本当は「顔と名前がわかるつながり」を誰よりも必要としながらも、先述した差別や偏見などの理由により、それができない人もいるのではないか。
 こうした問題意識を踏まえたうえで、本シンポジウムでは「匿名性」と「つながり」を切り口にして社会福祉の実践や研究について、一緒に考えていきたいと思う。