日本社会福祉学会 第65回秋季大会

大会校企画シンポジウム

テーマ: 社会の暴力性を問う ―「包摂型社会」への提言 ―

趣 旨:
 社会福祉学は、社会のなかで多様な人びとがさまざまな状態に置かれていることを前提に、これらの人びとそれぞれの生きにくい状況を、よりよき状態に向けることを目指している。換言すれば、その目標は、誰もが多様な生を尊重し認め合うことであり、生きにくさを生みだす社会の暴力性(合法/非合法を問わず抑圧/搾取/排除する考えや行動)に抗していくことでもある。
 これら生きにくさを生みだす社会の暴力性は、帰属するコミュニティに見いだされる。すなわち、それは、法の内・外を問わず親密圏であれ公共圏であれ、それぞれの場に過剰に包摂や排除/周辺化される事象にみてとれる。親密圏で生起する虐待やDV、生殖管理などにみられる生の選別、公共圏で生起するパワハラ、ヘイトスピーチ、施設内の暴力や身体拘束、相談機関の不適切な対応などが、また国外の政治・経済・社会の動きと連動して現れる戦争、テロリズムと難民問題、グローバル化や市場化がもたらす格差/貧困などがその例として挙げられる。
 そこで本シンポジウムでは、社会のなかで起きているさまざまな生に対する社会の暴力性(抑圧/搾取/排除)を切り口に、政策、方法、活動、理論それぞれの観点から包摂型社会に向けた提言をしていただきます。
シンポジスト:
阿部 彩(首都大学東京)
政策論の観点から
「貧困と暴力の連鎖」
木原 活信(同志社大学)
方法論の観点から
「自殺とケア、そして『構造的暴力』について」
みやもと せつこ(ソーシャルワーカー)
社会活動の観点から
「社会の性規範・ジェンダー規範のダブルスタンダードによる暴力
 ―アダルトビデオの中の性暴力の顕在化プロセスを例にして考える―」
圷 洋一(日本女子大学)
理論の観点から
「暴力との向き合い方について:理論的観点から」
コーディネーター:
岡部 卓(首都大学東京)

※敬称略