大会校企画シンポジウム

テーマ:社会福祉が育む「共生の創造」

趣旨

 共に生きる(共生)は人間の生活を守り豊かにする必須要件であり、社会福祉を育んできた基盤である。さらに、他者との関わりを豊かに広げていくのが社会福祉の役割でもある。
 「社会福祉を育んできた共生」だが、逆に「社会福祉が共生を育む」ものであるとの理解も進みつつある。人々の生活を豊かに意義あるものとし、人々が集う社会を意義あるものにする、「共生」をいっそう発展させる創造的役割が社会福祉にはあるといえる。
 共生をテーマとする際に、念頭に置く必要があるのは「何のための共生か」ということである。戦前においてそれは国家のためであり、体制維持のための思想であったことをわれわれは思い起こす必要がある。今日の日本で、そのような脈絡から共生を強制することはあり得ないが、共生の自明性が本質的な議論を遠ざけ、いつかこの概念が単なるスローガンに堕し、概念の空洞化をもたらしていくのではないかと危惧される。
 あらためて、一人ひとりのかけがえのなさ(尊厳・自由)を実現するために自分と他者への配慮にもとづいた共生が欠かせないということ、ここに立ちながら、議論をすすめていきたい。人間生活は、「直接間接に他の人間の存在を保証する世界なしには、不可能である」(ハンナ・アーレント『人間の条件』)という言葉は、共生の必然性を明確に示したものといえよう。

【シンポジスト】
生田 武志(野宿者ネットワーク代表)
 「野宿者との共生―社会復帰・自立支援とは?」
佐藤 洋作(NPO法人文化学習協同ネットワーク代表理事)
 「若者と共に転換期を生きる~ひきこもり支援の現場から」
加藤 博史(龍谷大学短期大学部)
 「困窮者・外国人・受刑者との共生-主権・ドミナント・多様性・自他実現を機軸に-」
鈴木 勉(佛教大学)
 「共生のルネサンス――人類史における障害のある人々の位置」
【コーディネーター】
池本 美和子(佛教大学)

※敬称略