自由研究発表児童福祉2  加藤曜子

市町村児童家庭相談担当者のコンペテンシーにかかる一考察
 

○ 流通科学大学   加藤曜子 (会員番号1789)
関西学院大学  前橋信和 (会員番号5340)
同朋大学  井上薫 (会員番号3850)
キーワード: 《児童家庭相談》 《コンペテンシー》 《市町村》

1.研 究 目 的

今年度は、児童虐待防止法設置から10年目を迎え、また児童福祉法改正における市町村の相談機能強化から5年目を迎える。今なお、虐待防止の取り組みに関しては、要保護児童対策地域協議会が設置されたものの、地域差があり、十分機能されてないことが問題となってきている。在宅支援の向上の一つには、その中心となる児童家庭相談担当者(子育て支援課の担当者とも言っている)の充実化が連動すると考えられる。その役割は、地域にあって、虐待通告を受理し、また児童相談所との協議や送致を含めた相談窓口として重要な位置を占めているからである。また要保護児童対策地域協議会の調整機関を担わされているところも多い。しかしながら、その資質の充実に関しては、発足当時からその準備不足が危惧され、その後、児童家庭相談担当者は、児童福祉司資格取得の研修会を受けられるということになったが、依然として資質のばらつきは大きい。要保護児童対策地域協議会の強化を打ち出されているものの、市町村によっては、その体制充実の認識が低く、相談員1名体制のところもある。市町村相談調査(2007、2008)においては、相談員が資格をもっている内容は、教師資格、保育士資格、保健師資格,社会福祉士など、受けた教育の背景は異なる。背景の資格に左右されず、一定の資質をもった資質が求められる。市町村への研修実態調査(2010)によれば、都道府県単位での市町村の児童家庭相談員のための研修実施内容は自治体格差があり、市町村独自の研修実態は極めて乏しい。本研究では、そういった状況にあって、児童相談を担当する職員の資質向上を高めるための自己点検表作成を試みた。分析結果と課題について報告する。 

2.研究の視点および方法

2008年においては予備的調査として近畿内で児童家庭相談担当者への調査を実施した。2009年は、前年度の分析結果を踏まえ、コンピテンシー作成に必要な項目を決定した。全国の5分の1市町村からランダムサンプリングをし、その中のすべての市を抽出し、198カ所へ郵送調査を実施した。郵送時期は2009年8月から8月30日までである。回収は125市(有効回答123)、回収率63.1%であった。回答数は189通である(複数の児童家庭相談員がいる場合はその人数分を含む))。
<調査項目の決定について>は、東京都の児童相談センターから提出された児童相談所のコンペテンシーに関する報告書、及び諸外国の報告書を参考にし、2008年調査を実施したうえで導きだした項目を検討した結果、さらに必要な内容を加えて、調査項目を決定した。  

3.倫理的配慮

 本研究においては、個人情報に関して配慮した。報告では統計的な処理結果を提出した。 

4.研 究 結 果・考 察

①2008年に実施したコンピテンシーのための項目結果[第一回目調査]を踏まえ、援助関係項目、科学項目、機関連携項目、自己管理項目等ごとの主成分分析で信頼度の高い項目かどうかを点検したのち、項目を新たに加えた。結果は、第一回目とほぼ同様の傾向がみられた。②「資格がない」場合は、予測どおり自己評価の点数は低くでた。③ソーシャルワークとケースマネジメントの理解についても比較したが、職種間により差がみられた。④自己点検結果について当日さらに詳しく報告をしたい。 5.今後の課題は、コンペテンシーの項目については、研修の必要性と効果を合わせた形で、検討する必要があると考えている。

(本研究は、平成21年度文部科学研究『ソーシャルワークの特性に関する実証研究―ケアマネジメ ントとの関連のもとにー連携研究に基づく)   

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