自由研究発表社会福祉教育・実習3  阪田憲二郎

社会福祉援助技術現場実習における「長期実習プログラム」の試み
 -学生アンケートを通して効果と課題を明らかにする-

○ 神戸学院大学  阪田憲二郎 (会員番号5890)
神戸学院大学  高梨 薫 (会員番号2288)
福井県立大学  奥西栄介 (会員番号2942)
キーワード: 《社会福祉援助技術現場実習》 《長期実習》 《ボランティア実習》

1.研 究 目 的

  社会福祉援助技術現場実習(以下配属実習)は、ソーシャルワークの価値・知識・技術を指定施設に身をおいて実践から主体的に学ぶところにその意義がある。学生は実習から多くのことを学ぶという体験をするが、体験で終わることなくさらに学び深めるためには多くの時間が必要になると考えられる。しかし、現行の法定実習時間数は180時間以上となっているもののカリキュラムの都合で実習に法定以上の時間を費やすことは困難となっている。一方、配属実習までの学年においても1年次から実習に向けた実習導入プログラム(ボランティア体験など)を設定することよって実習がより充実したものとなると考えられる。 このような実習に関する課題をふまえて、神戸学院大学総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科(以下本学科)では、1年次生には「ボランティア実習」を実習導入科目として位置づけ、3年次第6セメスターにおいては360時間から540時間の長期の学外実習を行っている。本発表では、ボランティア実習から長期実習にかけての実習プログラムを示し、実習の導入から長期実習の意義を明らかにする。

2.研究の視点および方法

  (1)研究の視点:本学における実習プログラムの全体像を示し、とりわけ長期実習の評価を学生のアンケート結果をとおして検討を加え、その成果と課題を明らかにする。 (2)研究の方法:本学科にて実習を履修した学生に対し、実習事前指導と実習事後指導の授業(実習の前後)において実習に関する調査を行った。調査の対象となった学生は2007、2008、2009年度に実習を行った学生である。

3.倫理的配慮

  調査依頼文には、学生個人が特定できない方法で集計し今後の実習のあり方の参考にするために使用する旨を明記した。結果を公表する場合は個人が特定できないように配慮した。調査結果が成績に反映するものではないことも明記をした。

4.研 究 結 果

  調査結果の一部を以下に記す。2008年度に実習を行った学生の場合(n=122)、本学科の実習教育の特徴のひとつであるボランティア実習について、3年次の実習を終えた後、実習開始前の気持ちがどのように変化したかについて尋ねたところ、「ボランティア実習を経験して、福祉現場での実習に自信を持てたと思う」に対し、非常によくあてはまる(12.2%)、かなりあてはまる(29.4%)と、両者で41.8%であった。 また「ボランティア実習はいい経験だったと思う」に対しては、非常によくあてはまる(45.9%)、かなりあてはまるが42.9%で9割近くの学生がいい経験だったと捉えていることがわかった。  次に、本学科が法に定められた社会福祉士受験資格を得るための実習が180時間であるところを、360時間から540時間という長期の実習期間を設定しており、「実際に長期の実習を行ってみて、あなたはどのように思われましたか?」を尋ねた結果、大変良かった(30.9%)、良かった(53.6%)で、良くなかったと答えたのは1%(1名)であった。  さらに「これからも本学科において長期的な実習を続けていく価値があると思いますか?」と尋ねたところ、(価値があると)思う(80.9%)、(価値があると)思わない(1.1%)、どちらともいえない(18.1%)であった。  本学科の実習教育の特徴である1年次ボランティア実習と3年次の長期実習について、学生の評価は概ね肯定的であったといえよう。  当日は、2007年度、2009年度の集計結果と他の質問項目の集計結果について報告する。


↑ このページのトップへ

トップページへ戻る


お問い合わせ先

第58回秋季大会事務局(日本福祉大学)
〒470-3295 愛知県知多郡美浜町奥田
日本福祉大学 美浜キャンパス

受付窓口

〒170-0004
東京都豊島区北大塚 3-21-10 アーバン大塚3階

株式会社ガリレオ 学会業務情報化センター内
日本社会福祉学会 第58回秋季大会 係

Fax:03-5907-6364
E-mail: taikai.jsssw@ml.gakkai.ne.jp