自由研究発表方法・技術1  山口 真里

ストレングス‐パワー変容過程における局面展開(2)
 -ストレングス‐パワー変容過程版エコスキャナーの活用にむけて-

広島国際大学  山口 真里 (会員番号5501)
キーワード: 《ストレングス》 《ストレングス‐パワー変容過程》 
            《ストレングス‐パワー変容過程版エコスキャナー》

1.研 究 目 的

 近年ストレングスは、ソーシャルワーカーと利用者との対等な関係を構築し、真に利用者の望む生活を 実現する支援展開の鍵概念として注目されている。その一方でストレングスに着目する支援過程や展開方法に ついては、十分明示されてきていない現状がある。
  こうした問題意識から、ストレングスに着目した支援過程として、ストレングス‐パワー変容過程を提示 してきた。ストレングス‐パワー変容過程とは、利用者が培ってきたストレングスを利用者自身が他者や 周りに影響を与え、行動を起こしていくパワーに変容させる局面展開をもつ一連のプロセスである。そして その局面展開では、ストレングスに着目しそれを活用した行動力へつなげていく促進者の役割が中核的機能を 果たすことがわかった。しかしストレングスに着目したソーシャルワーク実践の方法を確立するには、 支援過程局面でのソーシャルワーカーの役割ととその具体的展開方法を考察することが必要不可欠である。
  そこで本研究では、ストレングス‐パワー変容過程の全ての局面に深くかかわる促進者の役割に着目し、 それを促すツールの検討を行ってきた。具体的には、利用者のストレングス状況とその変容を捉えるツールと してストレングス‐パワー変容過程版エコスキャナーを試作した。ストレングス-パワー変容過程版エコスキャナー とは、ソーシャルワーカーが利用者のストレングスに着目し、その変容状況を把握できるように従来のエコスキャナー を改良したツールである。本報告は、ストレングス‐パワー変容過程版エコスキャナーの試作に至る手続きとその検証、 今後の活用の可能性を明らかにするものである。 

2.研究の視点および方法

 これまでの継続研究をとおして本報告では以下の3点の研究課題にしぼり考察を試みた。
 1)ストレングス‐パワー変容過程の局面展開と促進者の役割の関係
 2)局面展開を促すツールとしてのエコスキャナーの改良
 3)ストレングス‐パワー変容過程版エコスキャナーの検証
 4)ストレングス‐パワー変容過程版エコスキャナー活用の可能性の模索

3.倫理的配慮

 本研究で用いている事例や調査内容については、事前に当事者に承諾を得ており、個人が特定できないよ うに匿名化して報告を行う。

4.研 究 結 果

 本報告では、上記の研究方法に沿って考察を行った結果、以下の2点が明らかになった。
 1)ストレングス‐パワー変容過程版エコスキャナーの有効性
 2)ソーシャルワーク教育におけるストレングス‐パワー変容過程版エコスキャナー活用の可能性
  まず本研究で改良を行ってきた試作品については、現在進行形の実践事例に基づいて実践現場のソーシャルワーカーに検証を 行ってもらい、1)ストレングス‐パワー変容過程版エコスキャナーの有効性を確認することができた。具体的には、 ソーシャルワーカーがストレングスに着目したり、パワーへの変容状況を確認・評価する局面で、その促進者としての 役割を促すことが明らかになった。
  また自らが担当している社会福祉援助技術演習のなかで、受講生にストレングス‐パワー変容過程版エコスキャナーを 使ってストレングス視点を体験してもらったところ、「ストレングスの理解を深められた」などの感想を得ることができた。 このことは、2)ソーシャルワーク教育におけるストレングス‐パワー変容過程版エコスキャナー活用の可能性を示唆する ものであり、今後の研究課題として残されることとなった。

↑ このページのトップへ

トップページへ戻る


お問い合わせ先

第57回全国大会事務局(法政大学現代福祉学部)
〒194-0298 東京都町田市相原町 4342

受付窓口

〒170-0004
東京都豊島区北大塚 3-21-10 アーバン大塚3階

株式会社ガリレオ 学会業務情報化センター内
日本社会福祉学会 第57回全国大会 係

Fax:03-5907-6364
E-mail:taikai.jsssw@ml.gakkai.ne.jp