世話人の言葉と援助が出会う風景
-精神障害者をケアしている障害者グループホームの世話人調査を通じて-
○ 常磐大学 宮本 秀樹 (会員番号6676)
キーワード: 《世話人》 《言葉》 《関わりの風景》
(1) 2005年研究」について 筆者は、日本社会福祉学会第45回全国大会で、2005年(障害者自立支援法施行前)に知的障害者グループホームの世話人を対象にした研究調査 (世話人の日常的な支援のなかでの営みに着目しながら、世話人の思い、考え、経験、行動などを問う聞き取り調査) をまとめ、「知的障害者グループホームの世話人に求められる支援の視点に関する一考察-NPO法人Tに所属する世話人調査を通じて-」(以下、「2005年研究」)を発表した。
(2) 「2008年研究」について 本研究は、若干の微調整を加えながら、2005年研究とほぼ同様の調査票の枠組みでもって、2008年(障害者自立支援法施行後)に主として精神障害者をケアしているグループホームの世話人を対象に聞き取り調査結果をまとめたものである(以下、「2008年研究」)。
(3) 「2005年研究」と「2008年研究」の背景比較について
(4) 本研究のねらい 本研究は、上記(3)の背景の違いを踏まえ、精神障害のある入居者への日中の限られた日常的世界での世話人の関わり体験に対して、世話人の日常的な言葉を通じ、専門的な視点・関わりに関係するであろうその言葉の一部を切り取り、言葉と援助が交わる風景を描写することをそのねらいとする。
2.研究の視点および方法(1) 文献研究~先行研究によるグループホーム誕生の歴史的経緯や現状等に関する整理、世話人の業務内容、位置づけ、専門性等に関する整理など(「2005年研究」より)
(2) インタビュー調査~世話人に関するフェイスシート、世話人の心得や援助内容、世話人のタイプ、世話人の現在の満足度や将来についてなど、量的調査と質的調査とを組み合わせた26項目の調査票に基づく面接調査
聞き取り調査に際しては、調査協力依頼文を基に対象の世話人に対し研究の趣旨を説明した。さらに、データ(言葉)の一部を論文等での活用の際には、対象者本人が特定できないように年齢等の記載に加工を行なうことを含め、ICレコーダー使用の了解を対象者から得た。
4.研 究 結 果(1) 調査結果の概要(一部)
① 調査対象者 20名(女18名、男2名)
② 調査時期 2008(平成20)年7~9月
③ 調査時間 インタビュー時間の総量 1,035分
一人当たりの平均面接時間 52分(最長85分 最短31分)
④ 聞き取り調査場所 回答対象者が所属するグループホーム等の一室、グループホーム支援センター事務室、世話人の自宅など
(2) 世話人の言葉と援助とが出会う風景にかかる社会福祉的考察