■テーマ:当事者と向き合う専門性とは何か
■趣 旨:
現在、ソーシャルワーク専門職の実践に関しては、その専門性を「客観性」や「科学性」からだけではなく、当事者の主観や「援助者―当事者」の「関係性」といった観点から検討することが求められている。例えば、社会構成主義の思想は、20世紀の終盤以降、われわれの社会観に大きな影響を与えた。そのことは、ソーシャルワークの思想や理論にとっても例外ではなく、ストレングス、ナラティブアプローチ等の考え方を生み出すこととなった。また、社会構成主義以外の流れの中でも、当事者性や当事者と援助者の関係について検討がなされている。
しかし、これまでのソーシャルワークの思想や理論に関する議論を俯瞰すればわかるように、一口に当事者といってもその意味するところは多様である。そればかりか、当事者という言葉遣いそのものが専門職側の権力性を帯びた言葉であるとの批判もある。つまり、ソーシャルワークの「専門性」を巡る議論は、逆説や矛盾の要素を含むきわめて困難な側面があると言わざるを得ないであろう。その困難性を踏まえた議論を、さまざまな立場の実践を主眼として積み重ねていくことこそ今日求められている。
本シンポジウムでは、2012年11月に本学会から刊行された『対論 社会福祉学』の中から「〈第4巻〉ソーシャルワークの思想」と「〈第5巻〉ソーシャルワークの理論」で展開されている議論をベースに、ソーシャルワーカーは当事者とどのように向き合うべきかという最も根本的な問いについて、シンポジストそれぞれの立場から検討を行う。そして、この問いに対する議論を手掛かりとして、これからのソーシャルワークを展望することにしたい。
*但し、学生(大学生・大学院生)の方は、会員・非会員を問わず、参加費を免除しますので、受付で学生証をご提示ください。
■プログラム:
13:00~13:10
開会挨拶 会長 岩田 正美(日本女子大学)
13:20~16:50
シンポジウム「当事者と向き合う専門性とは何か」
【シンポジスト】
田嶋 英行(文京学院大学)
松田 博幸(大阪府立大学)
小西 加保留(関西学院大学)
沖倉 智美(大正大学)
【コメンテーター】
小山 聡子(日本女子大学)
【コーディネーター】
山辺 朗子(龍谷大学)
16:50~17:00
閉会挨拶 副会長 牧里 毎治(関西学院大学)
全体司会 研究担当理事 金子 光一(東洋大学)
*同日10時から正午まで、定時社員総会(6号館 6B 13教室 )が開催されます。
代議員でなくても、会員であれば参加できますので、多くの皆様のご参加をお待ちしています。