学会長挨拶
一般社団法人 日本社会福祉学会 会長 岩田 正美
(日本女子大学 人間社会学部 社会福祉学科 教授)
このたび、北星学園大学のご尽力を得て、日本社会福祉学会は第61回秋季大会を、自然豊かな北海道の地で開催する運びとなりました。
いうまでもなく、春・秋の学会開催は、日本社会福祉学会の主要な事業です。とりわけ秋季大会は、会員の皆様の日頃の研究成果を口頭報告、ポスター報告などで発表して頂き、あるいは特定課題セッションを通して共同研究の一端に触れられる機会です。また近年の学会では若手研究者のためのワークショップも設けられております。これらの場を通して、大いに啓発され、あるいは批判・議論して、それぞれの社会福祉研究を深めるきっかけにして頂ければ幸いです。
また、今回は大会テーマとして「貧困と社会福祉〜貧困問題への創造的実践を考える」が掲げられ、そのテーマに関わるシンポジウムが、この開会式・学会賞授与式後に開催されます。北海道では、昨年度も貧困をテーマとした学会フォーラムが開催されておりますが、思えば1954年に創設された日本社会福祉学会の、創立総会並びに第1回大会共通論題が「貧困の日本的性格」というものでした。50年代の学会大会はその後も「ボーダーライン層について」(第4回大会)、「低所得層の生活構造」(第5回大会)と続きます。また第3回大会では共同研究の必要性が提起され、「ボーダーライン層の生活構造」が文部省総合研究費を得て進められています。これらの成果が、貧困研究としても、日本社会福祉学会の共同研究成果としても、いまだに金字塔となっている『日本の貧困』(1958年、有斐閣)に結実したのでした。今回のテーマは「創造的実践を考える」という副題に意味が込められているかと思いますが、50年代の状況とは大きく異なった現代の貧困を前にして、どのような創造的実践が議論されるのか、大変期待しております。
学会秋季大会は、北から南までの会員同士が久しぶりに顔を合わせ、交流を深める場でもあります。あるいはまた、協定を結んでいる韓国をはじめ、中国の社会福祉研究者その他海外の会員、留学生の会員など多様な立場の方々との交流を進める良い機会でもあります。2日目には国際学術シンポジウムが開催されますので、是非ご参加下さい。
最後になりましたが、大会委員長の北星学園大学学長田村信一先生、大会実行委員長田中耕一郎先生をはじめとして、入念な準備をしていただいた大会校の諸先生方、学生の皆様に深く感謝申し上げます。