>  大会長あいさつ

大会長挨拶
日本社会福祉学会第60回秋季大会の開催にあたって

日本社会福祉学会第60回秋季大会 大会長 芝野松次郎

 

記念すべき日本社会福祉学会第60回秋季大会を関西学院大学上ケ原キャンパスにおいて開催できますことは、私たち人間福祉学部の教職員にとりましてこの上ない喜びであります。大会開催に際し、一言ご挨拶を申し上げます。

第60回秋季大会の総合テーマは「日本社会の再生と社会福祉学の役割—人・地域・制度のつながりにおける社会福祉の領域と境界」です。共生社会の再生は今日の社会福祉学にとっての大きな課題となっています。社会福祉学は、社会の再生を研究することを通して、高齢者福祉、障害者福祉、児童家庭福祉などにおいて、深刻化し複雑化するさまざまな問題の解決を図ろうとしてきました。折しも、昨年3月11日に東日本を襲った大地震は、直後の津波によって多くの尊い命を奪い、原発事故は多くの人びとから生活の場を奪いとりました。人びとの生活と社会の仕組みを根底から崩したと言うことができます。徐々に復興は進んではいるものの、1年半を経過した今もなお多くの人びとが苦しみの中におられます。人びとは復旧・復興を越えた社会そのものの再生を必要としておられるのです。東日本大震災と原発の事故は、被災地に留まらず、共生の基盤が失われた日本の社会全体の再生のあり方を、今一度根本的に見直すことを求めています。そして、こうした社会の再生における社会福祉学の役割が問われているのです。本大会を通じ、さまざまな角度から、これまで積み上げてきた社会福祉学の知と技を、日本社会の再生において如何に活用し、また新たな知と技を如何に蓄積し、役立てて行けばよいのかを考えたいと思います。

さて、本体会開催のお手伝いさせていただきます関西学院大学人間福祉学部は本年3月に初めて卒業生を世に送り出した新しい学部です。しかし、本学の社会福祉教育は1952年の文学部社会事業学科に始まり、社会学部社会福祉学科を経て今日に至っています。早くからソーシャルワークとその専門的教育・訓練の重要性を訴え、ソーシャルワーカーの育成に努めてきました。人間福祉学部社会福祉学科は、そうした伝統を継承しています。人間福祉学部は、新たに地域福祉や国際福祉におけるさまざまな問題解決に貢献する社会起業学科、心身の健康の領域における多様な問題解決に貢献する人間科学科を設け、より幅広い社会貢献を目指し、キリスト教主義教育に基づく人への思いやり、広い視野と高度な問題解決能力を身につけた人材の育成に努めています。

この人間福祉学部があります関西学院上ケ原キャンパスは、六甲山に連なる甲山の麓に広がる自然豊かな地に、スパニッシュミッションスタイルで統一された建築群が配された人にやさしく美しいキャパスです。このキャンパスを満喫してくとともに、実り多い集いとなりますことを期待しております。

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