対抗的公共圏と高齢者をめぐる福祉的課題
山野 則子(大阪府立大学)
1. 子どもをめぐる現状
・児童虐待の増加、不登校の増加、非行の低年齢化、子どもの貧困などの実態
・子育て不安、孤立、育児負担感の増加などの親の実態
・教員や保育士の実態
貧困、育児不安や孤立が見えない=排除されている、形を変えて見える(児童虐待、無理難題要求)
2. 子どもの福祉課題に対する制度・政策の限界
・児童相談所や児童福祉施設が先導し、児童相談所を中心とした施策展開、
・法整備、あり方論中心の展開 ⇒保護的機能中心に展開
・教育分野への参画のなさ、市町村に専門性のなさ
地域中心ではない、福祉が身近でない、制度間の谷間に対応できない
3. 対抗的公共圏としての地域の活動の一例 ⇒主体的視点、地域重視の視点へ
①地域の教員、専門職の地域における協働:「子どもの相談システムを考える会」(1994年)1
②地域の親たちと立ち上げた「子育てサークルネットワークの会」(1995年)2
関西レベルへ
①TPC教育サポートセンター(1999年)⇒大阪府スクールワーク事業 (2005年)開始3
②こころの子育てインターねっと関西(1995年)2
4. 新たな制度の成立 ⇒開発的機能の展開
①要保護児童対策地域協議会(元市町村虐待防止ネットワーク)の法定化(2005年)3
① ⇒スクールソーシャルワーク事業開始(2008年文科省の研究事業、2009年補助事業)4
②子育て支援事業の法定化(2003年)
5. 制度的公共圏を豊かにするために
・制度を策定しては点検→保持していく、新しくする =協働が機能する仕組み
(児童虐待~地域ネットワーク、SSW~教育委員会と福祉の協働のシステム)
1.子どもの相談システムを考える会編(2001)「子どもを支える相談ネットワーク」ミネルヴァ書房.
2.こころの子育てインターねっと関西編(1997)「みんなで子育てQ&A」農文協.
3.文部科学省(2008)「スクールソーシャルワーカー活用事業」.
4.厚生労働省(2005)「要保護児童対策地域協議会設置・運営指針について」 (雇児発第0225001号).