ポスターセッション高齢者  安藤 邑惠

ボランティア活動に参加している中高年者の健康状態と生活の満足

○ 岐阜医療科学大学  安藤 邑惠 (会員番号1580)
中部学院大学短期大学部  小木曽 加奈子 (会員番号6904)
東京都福祉保健局  阿部 隆春 (会員番号7301)
東洋医療福祉専門学校  平澤 泰子 (会員番号7302)
千葉商科大学大学院  勅使河原 隆行 (会員番号5794)
キーワード: 《ボランティア活動》 《健康状態》 《生活の満足》

1.研 究 目 的

R.J.ハビガーストは、人間は生涯(ライフーサイクル)を通して、学習を続けるものであるという側面を重視して いる。中高年期は、生理的な身体機能の低下や退職などによって生じるさまざまな変化に適応していく課題を持っている。 QOL(生活の質)の高い生活としては、健康状態を良好に保ち、社会参加のある生活を送ることが望まれる。そこで、自発的 にボランティア活動に参加している中高年の健康状態や生活の満足への傾向を把握することは、老年期を健康で生き生きと 過ごすための一助になると考える。本研究は、ボランティア活動に参加している中高年の健康状態と生活の満足に対する傾 向を把握することを目的とする。

2.研究の視点および方法

研究対象は、A県で行われた精神保健ボランティア大会に参加し、本研究の趣旨に同意をし、協力が得られた60歳以上 の133名であり、無回答を除いた有効回答100名をとした。
  調査方法は記入式のアンケートで、当日の配布・回収とした。
  調査内容は、ボランティア活動の場所、 ボランティア活動に関する講座受講の有無、健康状態、生活の満足、ボランテ ィア活動を行っていてストレスと感じていること(自由記述式)である。

3.倫理的配慮

 倫理的配慮は、アンケート用紙を調査対象者に対して配布する際、口頭及び書面で研究の趣旨と共に調査の協力は自 由意志であり、無記名とし個人名が特定されることはないことを説明した。アンケート用紙回収は、個人の自由意志を尊重 するために、会場外に専用の提出ボックスを設置し、アンケート用紙の提出をもって本研究に同意したと理解した。また大 会関係者には調査の方法及び対象者の倫理的配慮について事前に口頭及び書面で説明し、了解を得た。

4.研 究 結 果
1)対象者の属性は60歳代は64名(64.0%)、70歳代は35名(35.0%)であった。
2)女性は78名(78.0%)であり、男性は22名(22.0%)であった。
3)職業は、無職は67(67.0%)であった。
4)ボランティア活動の場は、作業所・授産所は35(35.0%)、サロン15(15.0%)であった。一人が複数の場所で活動 している。1ヶ所88名、2ヶ所37名、3ヶ所以上が27名である。
5)ボランティア講座の受講状況は、85名(87.5%)が受講している。 6)健康状態は10段階評価で、平均値7.23、標準偏差1.620、分散2.623であった。健康状態とボランティア活動との関係 は健康状態6以上のものが82名(82%)いた。また、健康状態と講座受講との関係は健康状態6以上のものが80名(80%) いた。いずれも相関関係はみられなかった。
7)生活の満足は10段階評価で、平均値7.82標準偏差1.585、分散2.513であった。
8)健康状態と生活の満足のCornbachの信頼係数は.773であり、相関係数は.630と相関関係がみられた。
9)現在"最もストレスを感じていること"の自由記述では66名(66.0%)の回答があり語彙数は67であった。内訳は、 「社会や行政に対する不満」は14名(20.9%)、次いで「人間関係のストレス」は9名(13.4%)であった。「夫婦や 親族との関係」「家族の健康障害に関すること」「本人の健康障害に関すること」「時間に追われる生活」はいずれも 8名(11.9%)であった。

5.考  察

少子高齢社会にあってはボランティア活動の参加者はネットワークとして重要な人材である。日本は欧米に比べ参加意 欲が低くいことが知られている。本研究のボランティア活動をしている人物像は、60~70歳代、女性、無職で1~2種類の活 動に参加し、健康状態も比較的良好であり、ボランティア活動に関する講座も受け、学習や社会参加意欲も高い。活動への ストレスは、「社会や行政に対する不満」とし、自分自身のことを先行するのではなく、広く社会や行政に関心を持ってい ることが分かった。

6.おわりに

健康状態と生活の満足とは相関があり,中高年者がネットワーク人材として活躍できるためにはまず,健康維持・増進を はじめ各種の福祉活動を推進する施策・環境整備が今後の課題となる。
参考文献:金子郁容著、ボランティア-もうひとつの情報社会、岩波新書、1992

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