日本社会福祉学会

１．研 究 目 的

本調査研究は、2007年に東京都内の地域包括支援センターの主任介護支援専門員（以下、「主任介護支援専門員」と略） を対象に実施した「ケアマネジャー支援に関する意識調査」（ルーテル学院大学「ケアマネジャー支援研究会」と「東京都 社会福祉協議会センター部会あり方検討委員会」が共同実施）の結果から浮かび上がってきた、「主任介護支援専門員」と 居宅介護支援事業所の「管理者」（以下、「管理者」と略）との「関わり」という課題を、多角的に検討するために、「管 理者」に焦点をあて、意識調査を実施したものである。
　　本調査研究の目的は、「主任介護支援専門員」と「管理者」との効果的な「関わり」を見出すために、「管理者」が求 める両者の「関わり」とはどのようなものなのかを精査し、具体的な方策を明らかにすることにある。

２．研究の視点および方法

本調査研究は東京都社会福祉協議会センター部会あり方検討委員会が東京都内全ての居宅介護支援事業所2824ヶ所に対 し、「主任介護支援専門員」との関わりについて「第２回包括的・継続的ケアマネジメントに関する調査～居宅介護支援 事業所の介護支援専門員に焦点をあてて～」と題し、郵送法でアンケート調査（調査項目26問）実施したものである。対 象は居宅介護支援事業所の「管理者」とし、居宅介護支援事業所の管理者以外の「介護支援専門員」（以下、「介護支援 専門員」と略）を対象にした調査票と同時に配布、無記名で回答を依頼した。調査期間は2008年12月8日～2009年1月16日 、調査票回収数は1128票（39.9％）である。
　　本調査研究では、「主任介護支援専門員」との「関わり」についての「管理者」と「介護支援専門員」の意識の違い について比較検討するために、「管理者」を対象にした調査票は、「介護支援専門員」を対象にした調査票とほぼ同様の 調査項目で構成した。

３．倫理的配慮

　「介護支援専門員」を対象にしたアンケート調査と同様に、「調査の回答内容は本調査以外では使用せず厳重に取 り扱い、調査結果は統計処理したうえで公開し、個別票を公開することはない」という旨を明記した別添資料を同封し 倫理的配慮を行った。

４．研 究 結 果

同時調査した「介護支援専門員」の調査結果と「管理者」の調査結果を比較すると、細部に多少の違いこそあれ、回答 者の約７割が「相談したことがある」と回答し、約３割が「相談したことがない」という「介護支援専門員」と同様の傾向 が示された。（表１、表２）
　　本調査研究では、「主任介護支援専門員」と「介護支援専門員」及び「管理者」の「関わり」に関して、求めている 「関わり」の矛先は必ずしも「主任介護支援専門員」だけでないことが明らかとなった。また、「介護支援専門員」と 「管理者」が求める「関わり」はその課題、ニーズ等には立場による違いはもとより、回答者の基本属性によって様々 であることも示され、いくつかの特徴も析出された。報告では、「主任介護支援専門員」と「管理者」との効果的な 「関わり」の方策を提示する。それらを実践することが、地域のケアマネジメント力の向上の一助になるものと考える。
　　さらに、居宅介護支援事業所の主任介護支援専門員が増加している中、今後は地域包括支援センター・居宅介護支援 事業所の主任介護支援専門員のそれぞれの役割を明確にした上で、その役割を活かした「介護支援専門員」への「関わり」 が喫緊の課題となることも示された。

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