地域包括支援センターの主任介護支援専門員との関わりに関する調査(1)
-居宅介護支援事業所の介護支援専門員を対象にした調査から-
○ 武蔵野赤十字在宅介護支援センター 岸 千代 (会員番号7619)
立教大学大学院 大口 達也 (会員番号7296)
キーワード: 《地域包括支援センター》 《介護支援専門員》 《主任介護支援専門員》
本調査研究は、2007年に東京都内の地域包括支援センターの「主任介護支援専門員」(以下、「主任介護支援専門員」
と略)を対象に実施した「ケアマネジャー支援に関する意識調査」(ルーテル学院大学「ケアマネジャー支援研究会」と
「東京都社会福祉協議会センター部会あり方検討委員会」が共同実施)の結果から浮かび上がってきた、「主任介護支援
専門員」と居宅介護支援事業所の「介護支援専門員」(以下、「介護支援専門員」と略)との「関わり」という課題を、
多角的に検討するために、「介護支援専門員」に焦点をあて、意識調査を実施したものである。
従って、本調査研究の目的は、「主任介護支援専門員」と「介護支援専門員」との効果的な関わりを見出すために、
「介護支援専門員」が求める両者の「関わり」とはどのようなものなのかを精査し、具体的な方策を究明することにある。
本調査研究は東京都社会福祉協議会センター部会あり方検討委員会が東京都内全ての居宅介護支援事業所2824ヶ所に
対し、「主任介護支援専門員」との関わりについて「第2回包括的・継続的ケアマネジメントに関する調査~居宅介護
支援事業所の介護支援専門員に焦点をあてて~」と題し、郵送法でアンケート調査(調査項目26問)を実施したもので
ある。対象を居宅介護支援事業所の管理者以外の「介護支援専門員」とし、無記名で回答を依頼した。調査期間は2008
年12月8日~2009年1月16日、調査票回収数は943票(33.4%)である。調査項目は2007年の調査を踏まえ作成している。
また、2009年4月から実施される報酬改定を見通し、新たな課題を把握するために、主任介護支援専門員の資格の有無、
今後の主任介護支援専門員の資格取得の意向等も調査項目として加えた。
双方の「関わり」について前回調査と比較分析し、「主任介護支援専門員」と「介護支援専門員」だけでなく、居
宅介護支援事業所の主任介護支援専門員との「関わり」についても分析することを可能とした。
アンケート調査に際し、「調査の回答内容は本調査以外では使用せず厳重に取り扱い、調査結果は統計処理した うえで公開し、個別票を公開することはない」という旨を明記した別添資料を同封し倫理的配慮を行った。
4.研 究 結 果本調査研究の目的は、まず、居宅介護支援事業所の「介護支援専門員」と地域包括支援センターの「主任介護支援専
門員」との関わりについて、その実態を明らかにすることにある。そこで、本調査研究では「地域包括支援センターの主
任介護支援専門員と関わりがある」という事柄について、「自分から連絡をして、地域包括支援センターの主任介護支援
専門員に相談をしたことがある」と定義し、その有無について調査した。(表1)その結果、回答者の約7割が「相談し
たことがある」と回答し、約3割が「相談したことがない」という実態が把握された。なお、表2は後者の回答理由につ
いてお聞きした項目の回答分布である。
報告では両者の回答を基軸項目とし、主に「約7割の回答者が、どのようなことを、なぜ相談し、その結果として
どのようなことが良かったのか、悪かったのか、その満足度はどの程度なのか」という事柄と、「約3割の回答者が、
なぜ相談をしていないのか、相談をしていない人と相談をしている人の違いは何なのか」という事柄に着目して、地域
包括支援センターの「主任介護支援専門員」との関わりの実態について、経験年数や担当ケース数、勤務・勤務外時間
、業務割合等の基本属性項目を用いて明らかにする。