自由研究発表障害(児)者福祉1  中野 加奈子

知的障害者の「暮らしの場」の支援の専門性と職員配置の課題
-グループホーム・ケアホームの職員配置基準と報酬単価の比較から-

○  佛教大学大学院  中野 加奈子(会員番号7013)
佛教大学  田中 智子(会員番号5114)
キーワード: 《知的障害者》 《グループホーム》 《専門性》

1.研 究 目 的

006年に障害者自立支援法が制定され、従来の障害者福祉施策は新たな事業体系へ大きく変化した。そして脱施設化の大きな流れを背景に、グループホーム・ケアホームは、知的障害者の地域生活の場として期待されている。大人数での収容ケアから、小規模集団でのケア、施設内で完結していた生活から、地域の様々な触れ合いの中での生活など、「暮らし」そのものを、より豊かに実現する場としての可能性を秘めているといえる。
  しかしながら、グループホーム・ケアホームにおける支援においては、その歴史も浅く、また職員の業務内容について明確に確立されてはいない。さらに職員の労働実態についても様々な問題が指摘されている。
  本研究においては、知的障害者の「暮らしの場」における支援の専門性を明らかにし、より豊かな地域生活を実現するために必要な職員の配置基準や報酬単価について考察するものである。

2.研究の視点および方法

A県の知的障害者のグループホーム・ケアホームの職員の業務内容及び業務時間についてタイムスタディ調査を行った。(195名の回答を得た。)
  さらに、障害者自立支援法におけるグループホーム・ケアホームの特徴を明らかにするために、①他の障害者福祉におけるグループホーム(児童・高齢)、②障害者自立支援法以前のグループホーム・ケアホーム、③障害者入所施設、④医療施設、の4領域について、①想定されている利用者、②求められる職員の資格、③職員配置基準、④報酬単価の4項目について比較検討を行った。

3.倫理的配慮

タイムスタディ調査においては、事業所、職員を特定できる情報が明らかにならないように配慮している。また調査趣旨について、調査対象者から了解を得ている。

4.研 究 結 果

タイムスタディ調査からは、グループホーム・ケアホームの職員の労働実態は、長時間化・非正規化している子と、さらに職員が利用者の個々のニーズを把握し、きめ細やかなケアを提供していることが明らかになった。
  次に、他領域でのグループホームの職員配置基準及び報酬単価と比較すると、グループホーム・ケアホームの夜間支援体制基準や職員の資格要件等は異なる特徴があった。
  以上のことから、法が想定しているグループホーム・ケアホームの支援と、実際の支援には差異があり、必ずしも労働実態を反映したものにはなっていないことや、他領域と比較しても、支援体制には課題があることが明確になった。これらの結果を踏まえながら、地域における知的障害者の「暮らしの場」の支援の専門性について考察していく。

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