フランスにおける家族政策の変化(1945年~2005年)と社会福祉の政策的含意
-社会的利害関係の構造と福祉国家の変化
翰林大 羅 秉均 (韓国社会福祉学会会員)
キーワード: 《フランス》 《家族政策》 《福祉国家》
この研究の目的は1945年から2008年までのフランスにおける家族政策の変化を分析し、このような研究が韓国と日本の福祉国家と社会福祉政策の発展に対してどのような意義もたらすかを探るものである。
フランスにおける家族政策と社会保障制度の枠組みの中の家族手当の特性は普遍主義がその根底にあるという点である。このような普遍主義的家族政策と家族手当制度の発達は歴史的には少子化問題の解決のための人口政策との結合から始まる。
本研究では特に1945年フランス社会保障制度の出帆から現在までの家族政策と福祉国家の変化を社会的利害集団間の構造と関係の変化に焦点を当て分析し、そのことから社会福祉理論と政策水準での示唆点を模索しようとする。
歴史的にフランスの家族政策においての最も注目すべき論点の中の一つは家族主義と女性の権利との調和と折衷であった。フランスにおける家族政策はその類型的特性として進歩主義と伝統的要素の間の折衷主義を表しており、社会制度として家族の認定、普遍主義的家族手当と公共サービスなどを強調する(Commaille J., La Politique de la Famillie, p.16)。フランスにおける家族政策のこのような特性を説明するためには政策実行主体である全国家族団体連合(UNAF)が担ってきた役割に注目を置く必要がある。本研究者はこのような矛盾的命題がどのような方法を用い調和と均衡を保ちながら家族政策の発展をもたらしたかを説明するため、具体的な方法としては異なる理念や運動路線を追求しているフランス内の複数の家族団体間の関係と変化、また自分たちの利害関係を調整しながら自分たちを代表して国と家族政策の変化や改革を追求してきた全国家族団体連合の役割、そして出産奨励政策と民法の改革をめぐる女性主義陣営と家族団体間の意見調整を通じて問題解決を模索した国の役割などを分析する。
そしてフランスの普遍主義的家族政策と家族手当制度が韓国と日本の家族政策と福祉国家発展に示唆するものは何かを論ずる。
本研究は倫理的配慮として調査結果を研究以外の目的には使用しないことを文書として説明をし、同意を得たものである。
4.研 究 結 果フランスにおける家族政策の発達は構成、危機、曖昧な改革政策などとして定義される導入期(1939年~1979年)、児童ケアをめぐる国家政策の転換期(1980年代)、個人的権利と社会福祉専門化に直面した家族政策の試練記(1990年以後~現在)の三段階に区分される。
1990年以後、貧困層のための選別主義的家族手当給付が増加してきたが、いまだフランスの家族政策は普遍主義に基づいている。このようなフランス社会の普遍主義的家族政策と家族中心的思考は、韓国と日本における少子化問題の解決に当たり示唆するものが多く、両国の福祉国家発展のためにも示唆するものが多い。