【第12回】予防的福祉の実現を目指して(米田 政葉)

米田 龍大

八戸学院大学健康医療学部人間健康学科 助教
米田 政葉

自己紹介

 初めまして、八戸学院大学助教米田政葉です。大学入学時は福祉に興味があまりありませんでした。学部3年生時に疫学的視点から福祉について研究する福祉疫学に出会い福祉の面白さを知りました。支援に重点を置きがちな福祉分野において、予防的視点から福祉を考えるという視点、漠然とした福祉的課題を計量的方法によって明らかにするという方法は非常に斬新に感じ自身も福祉疫学研究を行いたいと考え研究の道を志しました。

研究内容

 主な研究テーマはひきこもりの予防についてです。ひきこもり状態になることで、当事者の心身の健康状態が悪化すること、QOLが低下することなどが知られています。社会に対する影響も少なからず存在します。ひきこもり状態にある人たちを早期に発見し、課題解決に向けた支援を行う二次及び三次予防的支援を行い、本人の負担なく社会復帰できるよう支援するための研究はもちろんですが、ひきこもり状態にならないように、社会環境の改善を行っていく一次予防の視点を特に重要視して研究を行っています。
 その結果、ひきこもりの一次予防には①自閉症スペクトラム障害の早期発見と支援、②自分の悩み事など弱みを見せられるような対人関係の構築と維持、③居場所の確保が重要であること、二次予防に向けては①支援情報の取得・提供方法の構築、②家族や友人をはじめとする対人関係の再構築、③ひきこもり当事者が動き出そうとした際に適切な後押しをできる支援体制の構築が重要であることが明らかになりました。
 今後はこれらの知見を精緻化していくと同時に、具体的に支援に生かしていくための実践方法を現場と協働で研究していきたいと考えています。

当学会へのリクエスト

 学会へのリクエストは①初期キャリア会員の会費減額、②学部会員制度の創出の2点です。①について、現在正会員の年会費は原則一律10,000円です。大学院に所属し自身で会費をねん出している大学院生や教員、研究員になりたてで研究費が不十分な初期キャリア会員にとっては大きな負担となっています。初期キャリア会員の会費を減額することが急務であると考えます。②について、自身の指導する学生の中にも日本社会福祉学会に興味を持ち早期から参加できればと希望する有望な学生が少なからずおります。学部会員制度を創出し将来にわたり活躍してくれそうな学生を学会に所属してもらえるようにすることは、学会の益々の発展につながると考えます。