【第8回】理論知と実践知との融合を目指して(山口 友佑)

認知症介護研究・研修大府センター
山口 友佑

自己紹介

 私は神奈川県で生まれ育ち、2017年3月に東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科博士後期課程を修了するまで生まれ育った町で生活をしておりましたが、2017年4月に現在の職場である認知症介護研究・研修大府センターに着任してからは、愛知県で生活をはじめ、6年目を迎えております。

研究内容

 現在私が取り組んでいる研究は大きく分けて2つあります。まず1つ目は、大府センター職員として取り組んでいる研究です。大府センターでは、若年性認知症の社会的支援に関する研究、ケア実践者自らの研究活動による認知症ケアの課題解決に向けた支援ツールの開発など、認知症ケアの質向上の寄与を目指した研究を行っております。2つ目は、私自身が実施している研究です。私自身、学生時代から「高齢者虐待」をテーマに研究活動を行っており、大学院時代からは、「介護現場における身体拘束」に焦点を当て、現在は、「介護現場における身体拘束行為の捉え方」について研究をしております。
 身体拘束については、私が研究テーマとして取り上げ研究活動を実践してきた頃に比べ、現場の状況も変化し、考え方も変わってきている部分もありますが、一環として考えていかなければならない課題も蓄積されていると感じています。大府センターに着任し、認知症ケアの専門職である認知症介護指導者の方々と私の研究テーマについてお話をさせていただく中で、認知症ケアの実践者だからこそ感じている課題を学ぶことができ、また研究者という立場だから見えている課題もお伝えすることもできます。実践研究を積み重ねていく中で、研究者として様々な学びから得た「理論知」だけではなく、日頃の実践を通じて福祉実践者が身に付けている「実践知」もとても重要な要素だと思っております。センター職員として、また個人として実践する研究活動においても、私がこれまでの研究活動で得た「理論知」、実践者の方々が持っている「実践知」の融合を目指して、今後も研究活動の実践を行っていきたいと思っております。

当学会へのリクエスト

 本学会において、競争的資金の獲得や学術誌への論文の作成に関するワークショップなど、研究職として歩みを始めるための支援をいただいていることは、若手研究者としては大変ありがたいものと感じております。研究職としてのキャリアを重ねていく中で、競争的資金の獲得や学術誌への投稿は、継続していかなければならないものだと思っております。昨今、コロナ禍の状況の中で、eラーニングを活用した研修体制などが普及・定着しつつあります。定期的に学べ、自身の研究について振り返ることのできる機会があればとても嬉しく思います。