【第2回】リレー・エッセイ(髙橋 康史)

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科・講師
髙橋 康史

自己紹介

 私は、1989年に愛媛県伊予三島市(現・四国中央市)で生まれました。15歳の時に地元を離れ、愛媛県立伊予高等学校へ進学しました。高校時代は吹奏楽部に所属して、吹奏楽コンクールの全国大会に出場するためだけに生きていたので、まさか自分が社会福祉を志すとは思っていませんでした。1つ上の先輩方が引退され、自分たちの学年が部活を引っ張っていくようになって初めていただいた演奏会の場が、特別支援学校でした。そこで、観客の皆さんが自分たちの奏でる音楽に合わせ、踊り続ける姿を見たことが社会福祉を志すようになったきっかけです。その後、社会福祉を学ぶために桃山学院大学社会学部社会福祉学科へ進学しました。大学で社会福祉の勉強、福祉のアルバイト、ボランティアと、「福祉一色」の4年間を過ごしました。

研究内容と研究分野の魅力

 私は、第二次分野(特に教育分野・司法分野)における社会福祉の限定に関する研究に着手しています。このテーマは、社会福祉の領域拡大が注目を浴びている今、時代と逆行している内容かもしれません。このテーマの根底には、「社会福祉にしか出来ないことは何か」という社会福祉の本質に対する問題意識があります。教育・司法といった社会福祉を第一義的な目的としていない政策下における社会福祉の援助においてこそ、社会福祉の固有性を見出すことができるのではないかと考えました。そのためには、社会福祉が「何でもする」という姿勢から社会福祉は「これしかできない」という限定していくことが重要だと考えています。なぜなら、「何でもする」という姿勢は、社会福祉が司法や教育に取り込まれていくのではないか?という危機意識をもっているからです。社会福祉専門職にできて、弁護士や教師できないことは何か、と考えることで、後期近代社会における社会福祉の本質を見つけることができるのではないかと考えています。この点が、この研究分野の魅力です。

学会へのリクエスト

 私は職を得た後に、博士号を取得しました。昨今の大学行政においては、博士号の取得が極めて重要視されています。非常に贅沢で自己本位な悩みかもしれませんが、私は、博士号取得に強いプレッシャーを感じていました。主観的には博士号の取得にとても苦労したと感じています(上にある写真は、博士論文公聴会直前の様子です)。そして、これは若手研究者が抱える悩みの1つだと思います。ですが、なかなかこの悩みを相談する人と出会うことができませんでした。ですので、若手の研究者と知り合い、交流を深め、形式的でなく、肩の力を抜き語り合えるような場を作っていただけると大変ありがたいと考えています。そして、私もそうしたことに貢献ができるように努力していきたいと思っています。

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