【第19回】要介護高齢者の社会参加に向けて(太田 健一)

日本福祉大学福祉経営学部医療・福祉マネジメント学科 助教
太田 健一

自己紹介

 日本福祉大学福祉経営学部・助教の太田健一と申します。生まれも育ちも愛知県で、県内の病院に約10年間勤務をしていました。当学会ではソーシャルワーカーの会員も多いかと思いますが、私は当時、他の職種(医療職)として勤務をしていました。そんな私が福祉に興味を持ったきっかけは、障害当事者であり専門職でもあるという方々との出会いでした。自分で言うことではありませんが、病院入職時は専門職としてがむしゃらに勉強をしていましたし、これにより得た知識はその後、大変意義のあるものになったと思います。一方で、これらの方々との出会いにより、いかに自身の視野が狭かったのか、新たな視点に気づき、落雷が落ちたような衝撃を受けました。このような経緯から、福祉の勉強にシフトをしていくなかで、現在の大学に勤務をさせていただくことになりました。ちなみに、本学のキャンパスは愛知県ですが、私の勤務先は東京サテライトということで、一家4人、関東に引っ越しをいたしました。私の選択を支持してくれた家族には、感謝をしています。

研究内容

 一つ目は、高齢者の社会参加について、研究をしています。特に、要介護高齢者の社会参加について、支援の幅を広げたいという想いで、種々の研究を計画しています。「主観的な側面」「人権」をベースとして社会参加の概念を再考し、社会参加の研究と実践を展開したいと考えていますが、まだ成果を形にできていない段階ですので、あくまでも願望です。
 二つ目は、地域のインフォーマルな資源について、研究をしています。元々は、高齢者の社会参加という視点から興味を持ったテーマでしたが、インフォーマルな資源については特に、高齢者、若者、子どもなどと世代で区切る必要はないと感じており、柔軟な視点を持つように心がけています。フォーマルな資源とは全く異なる顔を持ちながらも、どのようにフォーマル・インフォーマル資源が連携をしていくのか、悩みながら研究を続けていきたいです。将来的には、この二つの研究を一体的に取り組むことができれば理想的だなと感じています。実践にもとづく研究と、研究にもとづく実践に貢献できるよう粘り強く取り組んでいきたいです。

当学会へのリクエスト

 学会誌の社会福祉学に毎年一回掲載される、「学会回顧と展望」は楽しみに拝読しています。領域ごとの動向をひとまとめにして知ることができる、貴重な資料です。執筆者の豊富な知見に感銘を受けるとともに、労力を割いてご執筆をいただいていることに、深く感謝をしております。引き続きということにはなりますが、研究論文の動向、最新の図書の情報などをいただけますと嬉しいです。