【第6回】わたしと社会福祉(大野 慶)

大野 慶

北海道大学大学院教育学院博士後期課程
大野 慶

自己紹介

 生まれも育ちも北海道札幌市です(生粋の「どさんこ」ですね)。まずはわたしが社会福祉を志したきっかけについてお話ししましょう。それはおそらく小学4年生から中学3年生までの経験にあると考えています。両親はわたしが小学4年生の時に離婚したのですが、その時から中学3年生まできょうだい(妹と次弟)とは離れて暮らしていました。ではこの間きょうだいはどこで暮らしていたのかといえば、児童養護施設でした。6年間ほぼ毎月きょうだいと面会するため児童養護施設に通っているうちにわたしは「入所している子どもはどのような家庭環境で過ごしてきたのか」「子どもは退所後どこに行くのか」などの疑問を抱くようになりました。そして、その後わたしはこのような疑問を解消するために北星学園大学社会福祉学部に進学することになるのでした。

研究内容

 社会福祉学部に無事入学し社会福祉を学び始めたわけなのですが、「主流」のソーシャルワーク論、社会福祉論を聴いたり読んだりしているうちに、ある漠然とした違和感を覚えることになります。それは「人びとの『生活』の話をしているのに『お金』の話はあんまりしないのね…」というものです。詳細は割愛しますが、このような違和感が現在の研究内容へと繋がっていきます。
 さて、わたしは現在、子ども・家族からみた生活保護制度の役割や運用のあり方、生活保護有子世帯の家計や暮らしについて研究しています。具体的にはこれまで、①生活保護実施要領等の分析を通して、子どもの高等教育「修学」(≠「就学」)機会を、生活保護制度は実質的に保障し得るのか否かの検討、②「北海道子どもの生活実態調査」結果の再分析を通した、生活保護有子世帯の生活にみられる特徴の把握に取り組んできました。現在は、暮らしを捉える視点を「家計」に求め、生活保護母子世帯における家計上のやりくりの問題・困難、世帯内支出配分の状況を明らかにすることを通して、世帯内の誰がいかなる犠牲を払っているのかを考察することを目的とした研究に取り組んでいます。

学会へのリクエスト

 リクエストしたいことは、大学院生をはじめ常勤職に就いていない会員を対象とする会費減額制度の創設です。年会費は現在10,000円です(2022年度より長期会員は5,000円)。わたしたち大学院生にとって年間10,000円の負担は決して軽くありません。わたし個人のお話になりますが、複数の学会年会費の納入期限が集中する例年4月から5月の期間は、普段よりも他の支出を我慢したり節約したりとギリギリの生活をすることになります。2020年度と2021年度には新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きくみて学生会員を対象とした年会費軽減措置がとられましたが、これを特例的な措置にとどめるのではなく恒久的な制度にしてはどうでしょうか。この件に関して前向きにご検討いただけますと幸いです。