【第10回】「分かろう」とするために(丸山 恵理子)

東洋大学大学院博士後期課程
丸山 恵理子

自己紹介

 中部地方のいなか町で生まれ育ちました。大学ではボランティアなどで実際の支援現場でお手伝いをさせていただき、座学では知ることができなかった、様々な考えや感じ方、生活上の課題に触れる経験をしました。そのことから、自分が支援現場に出て、誰かの将来に大きく影響を与えることに怖気づき、もう少し真剣に勉強をしなければと焦ったことが、大学院進学を決めたきっかけでした。
 地方から都会の大学院に入るにあたって、大学時代の恩師から、「色々な経験や考えを持った方が都会にはたくさんいる。だから都会の大学院に入りなさい」と背中を押され、上京しました。いまだに都内の公共交通機関の乗り換えや、人の多さに苦戦しつつ、実践経験がない分、たくさんのお話を聞こうと様々な勉強会やイベント等に参加させていただいております。

研究内容

 私には摂食障害と向き合う友人がいます。その友人曰く、味には色があり、その色が頭の中で混ざって気持ちが悪いとのこと。そのことで、生きづらさが重なり、時には私の目の前で自傷行為が行われたこともありました。
 友人から、家族からの理解が得られるまで時間がかかったこと、理解を得られたことでとても安心したことを聞いた時、家族が本人に与える影響は、あらゆる面で大きいのだと強く感じました。
 そのような経験から、精神障害に向き合う当事者と家族との関係性に関心を抱くようになり、研究を行っています。
 精神障害者の家族の方からお話をお聞きした際には、「あなたがこれから何十、何百の話を聞いても、決して私たち家族の苦しみを、本当の意味で理解することはできないでしょう」「分かち合うことができるのが、唯一、同じ経験をした家族」という言葉から、セルフヘルプ・グループの価値をお聞きすることもできました。
 家族支援を考える上で、当事者を含めた家族全体の関わりと生活を包括的にとらえ、これからの家族支援のあり方について、明らかにしていきたいと考えています。

当学会へのリクエスト

 大学院生でも応募できる研究費助成について、どのようなものがあるのか、学会のホームページ内等で探索できるページの構築をリクエストしたいです。
 アルバイトで生計を立てている大学院生もいます。生活費や研究費捻出のためにアルバイトは必要ですが、大学院生であり続けるためにアルバイトを懸命にすれば、研究活動に支障をきたします。特に一人暮らしで、安定した収入がない大学院生ならば、当てはまる方もいらっしゃると思います。
 また、新型コロナウイルスの影響もあり、指導がオンライン上で行われることも多く、院生同士の交流場は激減しました。知っていれば準備できた研究費助成に応募ができず、調査が遅れることもあります。院生が手軽に研究費助成の情報が得られる場があれば非常にうれしいです。