【第13回】実践と理論を結ぶため(木山 淳一)

木山 淳一

西南学院大学大学院人間科学研究科人間科学専攻博士後期課程
木山 淳一

自己紹介

 昭和63年に福岡県内の小さな町の社会福祉協議会(以下、社協)の福祉活動専門員として入職し、平成の合併を経て市社協となり31年間、地域福祉の現場に身を置いてきました。様々な生活課題を抱えた人と出会い、共に悩み、時には共に喜び合いながら育てられた気がします。
 しかし、定年退職を目前にしたとき、これまでの実践を後進にどのように伝えられるのだろうか、実践と理論の関連はあったのか、あるとすればそれを説明できるのだろうか、と疑問が噴出しました。つまり、これまでの実践は単なる「経験」と「感」によるものに過ぎず、理論に裏付けられた実践からは程遠いものではなかったのだろうか。漠然とながらも「実践と理論を結びたい」という思いがつよくなり、早期退職をして大学院に進むことを決意しました。そして、修士課程を終えてからの1年間、ホッとする反面、何か不完全燃焼感を拭い去ることができず、昨年、博士後期課程へと進みました。
 現在は、「初期キャリア研究者」として西南学院大学社会福祉学科の非常勤講師を務めながら研究を継続しています。

研究内容

 「地域共生社会の実現」のように地域福祉が政策化する一方で、地域では高齢化や過疎化が進展し、自治体の存続という大きな課題を抱えています。地域住民が主体となって自助や互助を中心とした地域づくりを行うことの必要性や重要性は理解できますが、地域住民はどのように捉えているのでしょうか。また、地域福祉の推進を目的とする団体として社会福祉法に明記されている社協には、どのような役割が期待されているのでしょうか。そして、その期待は社協の存在意義を問うことにもつながり、今まさに社協は正念場に置かれているといっても過言ではないと思います。修士課程では、自治体と社協の調査から、社協の存在意義と専門性を考察しました。博士課程では地域住民との協働や関係性も含めて考察をさらに深めたいと考えています。

当学会へのリクエスト

 学研究機関に所属していない院生にとっては「研究費の捻出」というのは大きな壁だと思います。研究費助成の情報にアクセスするにも時間と手間を要し容易ではありません。 学会ホームページ等でご紹介いただけると助かります。
 また、地域ブロックでの会員交流会などで顔が見える関係が構築できれば、研究のモチベーション維持にもつながるのではないかと考えます。