【第21回】理論と実践の往還からソーシャルワークの展開可能性を探る(加藤 昭宏)

加藤昭宏

同朋大学社会福祉学部専任講師
加藤 昭宏

自己紹介

 はじめまして。愛知県の同朋大学 社会福祉学部 専任講師の加藤昭宏と申します。もともと、急性期病院の医療ソーシャルワーカー、2市の社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーカーとして勤務していました。特に社会福祉協議会では、それぞれの自治体におけるコミュニティソーシャルワーカー実践や重層的支援体制整備事業の萌芽期に関わることができ、実践者として、また研究者としてもとても貴重な経験をさせていただいたと感じています。
 ちなみに高校生の頃は、「将来、エネルギーの研究者になりたい」と思っていましたが、物理がそこまで得意だったわけでもなく、「自分の好きなことは何だろう」と考え、「少しでも誰かの役に立ちたい」と福祉の道を志しました。
 大学を卒業後、医療ソーシャルワーカーとして現場実践に従事する中で、「ソーシャルワーカーの面接技術についてもっと学びたい」と感じたことがあります。ゼミの先生に相談したところ、大学院への進学を勧められました。そこでコミュニティソーシャルワークについて学び、社会福祉協議会への転職に至りました。そして、コミュニティソーシャルワーカーとして働きながら大学院に通い、気付いたら今に至ります。

研究内容

 コミュニティソーシャルワーカーとしての実践知の積み重ねから、コミュニティソーシャルワーク実践理論や伴走型支援、重層的支援体制整備事業における包括的支援体制の構築に向けた方法論について研究をしています。特に、精神分析の一つである「クライン派対象関係論」をソーシャルワーク実践理論に援用することでどのような支援ができるようになるのか、その展開可能性を探っています。「現場実践に還元される研究ができる研究者になりたい」と考え、現場実践を大切にし、理論と実践の往還から研究を進めていきたいと考えています。
 またこれまで、タイ・チェンマイの中山間地に住む少数民族のいる村や、その子どもたちが通う学校へ定期的に訪問しています。今後は、地域福祉実践を地域住民(村人)、現地の学校教員とともに行い、その展開可能性を探り、コミュニティソーシャルワークやコミュニティ・オーガナイジングに関する学術的・実践的な知見を獲得したいと思っています。

学会へのリクエスト

 このたび、初めて入会させていただきました。リクエストというわけではありませんが、年次大会の研究発表における発表分野の中で「国際社会福祉」が設けられていることにもとても魅力を感じています。これまで地域福祉やソーシャルワーク関係の学会に参加させていただくことが多かったのですが、今後、国際社会福祉を含め幅広く学ばせていただきたいと思います。
 皆様、どうぞよろしくお願いいたします。