【第20回】単身世帯でも安心して過ごせる社会の一助を目指して(亀川 喜代美)

亀川 喜代美

日本福祉大学 福祉経営学部 非常勤講師
みなと医療生活協同組合 協立総合病院 医療福祉サポートセンター 主任相談員
亀川 喜代美

自己紹介

 私は現在急性期の病院のMSW、日本福祉大学福祉経営学部の非常勤講師、成年後見人をしております。もともと、歯科衛生士として現在勤務している法人に就職しました。介護保険制度が始まる際に、受験資格に該当したため、介護分野でも歯科衛生士の資格が生かせるかもと思い、介護支援専門員を受験し資格を得ました。その資格を得たことで法人内異動により、居宅介護支援事業所において介護支援専門員として働くことになりました。歯科衛生士から事務職員として働くこととなり、今後の自分自身のキャリアを考え、社会福祉士の資格があれば、必要とされる部署が拡大していく可能性があると感じました。そこで、日本福祉大学の通信教育学部に編入し、社会福祉士の資格を得ました。
 趣味は沢山ありますが、現在はまっているのは着付けとフラワーアレンジメントです。没頭している時は、普段と違う自分になれるその瞬間が楽しくて続けています。そして、その後の異動により老人保健施設の生活相談員を得て、現在に至ります。

研究内容

 私の研究テーマで着目しているのは、「ひとり親と同居する未婚の子世帯」の未婚の子の介護離職や、身寄りのない単身世帯の身元保証や死後事務についてです。修士論文では、要介護となったひとり親と同居する未婚の子の生活実態と介護実態について研究し、介護支援専門員の視点から介護保険の利用と、未婚の子の就業継続・離職予防について考察しました。この研究をすることになったきっかけは、介護支援専門員の仕事に従事していた時、親の介護のために仕事を辞めて無職になってしまう介護者に出会ったことです。また、老人保健施設で入退所支援をする際、「ひとり親と同居する未婚の子世帯」は、他の世帯と違う対応が必要と感じたからです。この世帯に対して、離職防止がどのようにできるのか、なぜ現役世代で離職を選ぶのか、離職した後の介護者はどのような生活になっていくのかを研究テーマとしております。また、身寄りのない単身世帯の終末期の互助会形成や死後対応について、愛知県知多半島地域の各種団体と地域住民、大学教員で、家族が担ってきた機能を社会化する仕組みのプロジェクトに関わらせていただいております。「ひとり親と同居する未婚の子」は親が亡くなると単身世帯となり、さらに兄弟姉妹がいなければ、身寄りのない単身世帯となっていきます。身寄りのない単身世帯でも、安心して終末期が過ごせる社会の仕組みが形成できるよう、研究を細々と続けていきたいと思っております。

研究分野の魅力

 研究を始めた当初は、「なぜこの狭い領域の世帯に注目するのか。もっと、広い領域に目を向けた方がいい。」と指摘を受けたこともありました。しかし、この世帯と単身世帯に社会が注目することとなり、この研究を通じて実践に繋がっていくことに魅力を感じます。

学会へのリクエスト

 学会誌を通じて他の方の研究内容を知ることや、研究方法を学ぶことができることができることが、大変有難いと感じています。学会に強いてリクエストさせていただくとすれば、締め切りから査読結果が出るまでの期間が決まっていれば、大変ありがたく、結果待ちが何月になると明確にわかります。その点をリクエストいたします。