【第4回】これまでを振り返ってみて(梶原 豪人)

梶原 豪人

東京都立大学大学院博士後期課程
梶原 豪人

自己紹介

 私は山口大学教育学部を卒業後、現在所属している東京都立大学大学院に進学しました。今年度で博士後期課程の3年目になります。

ここでは簡単に私の研究関心について説明したいと思います。学部生の頃、私は沢木耕太郎の『深夜特急』に感化され、長期休暇の度にバックパックを背負って主にアジアの国々へ旅行に出かけていました(写真はその時の一枚です)。その中でいわゆるストリートチルドレンの姿がとても印象に残っており、自分に何かできることはないかと考え、現地の支援団体に話を伺いに行くことがありました。その団体のある学生から「日本には貧しくて、学校に通えない子どもは一人もいないのか?」と聞かれたことがありました。それまで考えもしなかった問いにとまどい、うまく答えることができかったことを覚えています。あの学生からの問いが私の研究関心の根幹にあります。

研究内容

 日本で「学校に通えない」あるいは「学校に通っていない」学齢期の子どもの呼び方の一つとして「不登校」があります。従来、不登校は子ども個人の心理やその家族の養育の在り方、あるいは学校教育制度に原因があるとして議論が展開されてきましたが、貧困という社会構造上の問題と絡めて議論されることはほとんどありませんでした。一方、日本の「子どもの貧困」の議論では、生活保護受給世帯など貧困家庭の子どもの高校中退や大学非進学が大きく取り上げられますが、義務教育段階である小学校や中学校の不登校を俎上に載せることは多くありません。私はそうした不登校と子どもの貧困の議論の間隙にある貧困家庭で育つ不登校の子どもたちを対象に研究を行っています。私の研究では量的・質的な分析を通して、彼ら/彼女らがどのような状況に置かれており、いかにして不登校となるのかを明らかにし、社会福祉学の視点からどのような支援、政策を打ち出すことができるのか検討することを目的としています。

学会へのリクエスト

 院生向けの研究費助成制度についての説明会をリクエストしたいです。院生が申請できる研究費助成制度として日本学術振興会の特別研究員(以下、学振)が代表的だと思われます。多くの場合、ゼミの先輩方の申請書を参考にしたり、院生同士での勉強会を行うなどして学振へ申請すると思われますが、すべての院生がそうしたコミュニティの恩恵を受けられるとは限りません。学振に限らず、研究費助成制度は、自費で研究を続けなければならない院生にとって非常に有益です。個々の院生の状況に関わらず、研究費助成制度の情報が得られ、研究費獲得のためのレクチャーを受けることができるよう、説明会などを設けていただけますと嬉しいです。