【第22回】子どもの権利擁護研究の発展を目指して(浅田 明日香)

浅田明日香

名古屋市立大学大学院博士後期課程
浅田 明日香

自己紹介

 緑豊かな岐阜県岐阜市で生まれ育ち、その後は愛知県名古屋市に拠点を移して研究に取り組んできました。大学卒業後は、大学院修士課程に進学するとともに、児童館で働きました。職場の上司の理解もあり、以前から興味のあった子どもの参画事業を新規で立ち上げ実施しました。現場は楽しかったのですが、もう少し研究を続けたいという思いから、大学院博士課程に進学しました。研究活動はデスクワークが多く、肩こりや頭痛に悩まされるようになったので、その解消のため趣味でダンスを始めました。人は周りのリズムに自らをシンクロしようとする生き物であると言われますが、ダンスは運動と音楽の融合であり、リズムに合わせて身体を動かすことでシンクロを楽しむことができ、リフレッシュにつながります。このように研究活動を続ける努力はしていたのですが、博士論文の執筆は想像以上に難しく、指導教員が他界されたこともあり一度目の大学院博士課程では博士号取得を断念しました。しかし、終わらないマラソンを走り続けている感覚が残り、現在は二度目の大学院博士課程で博士号取得に再挑戦をしているところです。

研究内容

 私は、子どもの権利擁護の研究をしています。私が国連子どもの権利条約と出会ったのは高校生のときで、子どもの権利条約の条文を眺めていて第12条意見表明権に目が留まりました。この権利は、「意見を聴かれる権利」「参加する権利」とも呼称される子どもの能動的権利の1つです。高校生の私は、意見表明権を知って「私のこの権利は保障されていないな」と思いました。成人後、「意見表明権を保障できる大人になりたい」と考えるようになり、研究の原点となりました。現代日本では、子どもの命の保護に熱心でも、子どもの声を聴きその尊厳を守ることには十分に関心が向けられておらず、子どもの福祉の発展を阻んでいます。特に、社会的養護の環境下で暮らす子どもの多くは被虐待経験を有しており、大人への不信感から丁寧な意見表明支援を要します。彼らが主体的に社会生活を送るうえでの基盤としても、意見表明支援は重要です。このような考えから、社会的養護施設の1つである母子生活支援施設における子どもの意見表明支援を含む権利擁護のあり方を明らかにしたいと考えています。

当学会へのリクエスト

 社会科学系の特徴かもしれませんが、共同研究の機会でもない限り若手研究者の研究活動は孤独な作業が多く、健康を維持し研究へのモチベーションを持続させることは容易ではありません。加えて、若手研究者が仕事と研究の両立困難や論文執筆の重圧に耐えきれず、志半ばで研究を諦め、大学を去る姿を見てきました。本学会には、研究業績の積み上げを焦る若手研究者の研究不正予防のためにも、若手研究者の共助ネットワーク構築をお願いしたいです。すでに本学会では、研究者支援の一環として、CS-NETを運営されていますが、今後も研究遂行のための情報交換、学習、交流の機会を設けて、その活動をさらに発展させていただきたいと思います。