会長挨拶

会長 岩田 正美
一般社団法人日本社会福祉学会
第5期会長 岩崎晋也

 本学会は1954年に創設され、現在約5,000人の会員を擁する学会です。

 社会福祉とは、多様な価値観を有する人々が、自らの幸福を追求できる共生社会をめざし、そのための社会的条件を整備する活動です。すべての社会構成員が幸福(well-being)である社会などは理想郷でしかありません。しかし、すべての社会構成員が自らの幸福を追求できない社会は不公正といえます。社会福祉学は、こうした社会福祉を推進するための研究をしています。

 わが国の社会福祉学の特徴は、社会福祉政策(Social Policy)と社会福祉実践(Social Work)の両方を研究対象とし、政策と実践の相互関係を重視して、一つの学問として発展してきた点にあります。社会福祉学の草創期においては、社会福祉の本質が政策にあるのか実践にあるのかが論点の一つでした。しかし現在では両者の関係性に着目し、先駆的な実践が新たな政策形成に影響を与えること、福祉計画などの政策策定が実践の進展に影響を与えることなど、政策と実践を相互連関システムとしてとらえることが必要とされています。

 また社会福祉学のもう一つの特徴は、政策と実践の相互連関システムとして現象面での実体を分析するだけでなく、それを貫く価値や規範との関係から実体を批判的に分析することにあります。社会福祉の政策や実践は、自らの社会的必要性や妥当性を示すためにいかなる価値や規範に依拠しているのかが常に問われています。価値的正当性という観点から社会福祉の各システムを批判的に分析することで、社会福祉が向かうべき方向性を提起することも重要な役割といえます*。

 日本社会福祉学会は、こうした社会福祉学の進歩と普及のために、学術集会(年2回の全国大会、地方ブロックで開催する日本社会福祉学会フォーラム)の開催、機関誌『社会福祉学』(年4回発行)、英文電子ジャーナルJapanese Journal of Social Welfare(年1回発行)、日本社会福祉学会学会賞の表彰、国内の関連学会との交流、国外の関連学会との交流等を行っています(特に韓国社会福祉学会とは学術交流協定を締結し、中国社会福祉研究専門委員会とも定期的に交流しています)。

 社会福祉学は、多様な関心を持たれている方に開かれた学問です。ぜひ多くの方に社会福祉学に興味をお持ちいただきたいと思っています。


*社会福祉学のこうした特徴については、日本学術会議社会学委員会社会福祉学分野の参照基準検討分科会(2015)「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準 社会福祉学分野」を参照してください。