一般社団法人 日本社会福祉学会第62回秋季大会 大会長
田中 英樹(早稲田大学人間科学学術院)
皆さま、ようこそ早稲田大学へお越し下さいました。実行委員を代表して、ご参加の皆さまに対し、心から歓迎の意を表します。
早稲田大学は今年で創立132年になります。1987年に創設された人間科学部としても初めての本学会大会の開催であります。関係する学会員が少ないこともあり、多くの方々のお力添えを頂きながら準備を進めてまいりました。この場を借りて心から感謝申し上げます。
ここ早稲田大学の創設者、大隈重信は1905(明治38)年に渋沢栄一らとともにハンセン病者の母と言われるハンナ・リデルの支援を通して福祉実践の価値をとても評価していたと言われます。2003年度から社会福祉学が位置づけられた健康福祉科学科は、人間としてよりよく生きることが実現できるように、今日的な諸問題を学際的に解明することを目指している人間科学部の中にあって、人が、身体的にも精神的にも社会的にも、健やかで安心して豊かに暮らしていくための、社会システム、支援の方法、科学技術などを総合的、多角的に学び、追求していく学科です。その中で、社会福祉学を軸とする私たち保健福祉系は、人間の尊厳とWell-beingの実現をめざした教育・研究を行っています。また、保健と福祉に関する幅広い学びを重視し、社会の様々な分野で人々に貢献できる人材を育成することを目指して社会福祉専門教育を担ってきました。
さて、本研究大会のテーマを、“社会福祉は日本の未来をどう描くのか”に設定させて頂きました。その背景には、今日の日本社会で、2011年3月11日東日本大震災と福島原発事故以降、不安や危機や社会的格差が増大し、未来社会に対しする不透明感が拡がっていることがあります。そのため、未来を主体的に見通すには、新たな価値観や社会システムのあり方を創出することが不可欠でしょう。実践科学、設計科学としての社会福祉学が人々の様々な生活困難に一つひとつ立ち向かい、生活課題とどう切り結んでいくのか、隣接する公共政策領域やヒューマンサービス分野の役割と交流するなかで深めていきたいと考えました。幸い、各地で「地域社会再生の軸としての福祉」への期待も高まっています。知と希望を創造する日本社会福祉学会第62回秋季大会は、社会福祉の可能性を未来からダウンロードして探っていく機会にしたいと思います。
心を込めた“おもてなし”ができるように準備してまいりましたが、何かとご迷惑をおかけすることもあると思います。どうぞ2日間、よろしくお願いします。
日本社会福祉学会 第62回秋季大会
実行委員長 早稲田大学 岩崎 香
この度は日本社会福祉学会第62回秋季大会にお運びいただきまして、誠にありがとうございます。
秋季大会の実行委員長という大役をお引き受けすることとなり、困惑したことをつい昨日のことのように思い出します。日々忙しく過ぎ、気がつけば1年以上の歳月が流れておりました。
社会福祉士の養成を行っている人間科学部は埼玉県所沢市にございます。1987年に創設された学部ですが、福祉専門職の養成を始めて10年余という状況です。所沢市の中でも山間の地域にキャンパスがございまして、大鷹の生息地であり、トトロの森のご近所でもあります。そうした自然環境に恵まれた場所に皆様をご案内したかったのですが、ご不便をおかけするということで、早稲田キャンパスを会場に大会を開催することとなりました。今大会は、社会福祉士養成に関わっている教員を中心に準備をすすめてまいりましたが、少ない人数で慣れないキャンパスでの開催となり、ご迷惑をおかけすることもあろうかと思いますが、ご容赦願えましたら幸いです。
しかしながら、一方ではこうした機会をいただき、本学の学生たちにとっても大いなる学びの場になればと期待もしております。私自身も査読や情報保障、会場の準備、若手研究者のためのワークショップの準備等に携わらせていただき、さまざまな経験をさせていただいております。特に若手研究者のためのワークショップに関しては、同じテーマを題材に4名の研究者の方に研究手法に関して紹介していただくことを企画しました。私が申し上げるのも僭越ですが、研究法に関して勉強したい学生や若手研究者の方の学びに貢献できるのではないかと考えております。
本学会の主たる会場は井深大記念ホールで、別名国際会議場とも言われています。ホールを早稲田大学に寄進した井深大氏は第一早稲田高等学院、早稲田大学理工学部のOBで、ソニーの創始者のひとりとして有名です。次女が知的障害だったということで、障害者施設の設立にもかかわったとされており、社会貢献にも力を注いだ方だったそうです。常に新しいことにチャレンジし、未来を切り開いてきた人と評される井深氏が建てられたホールで、「未来から求められる社会福祉の貢献を考える」と題したシンポジウムを開催することも、とても意義深いことだと受け止めています。
最後に大会にご参加、ご協力、ご支援くださった皆様、及び大会ヘルプデスクをご担当いただいた国際文献社にも心より感謝申し上げます。